『暴君のシェフ』に登場する各料理に珠玉の物語がある

韓国ドラマ『暴君のシェフ』は、2人の魅力的な主人公によって物語が力強く牽引されている。1人目は、イム・ユナ(少女時代)が熱演するヨン・ジヨンである。彼女は美食の都パリにおいて、最高峰であるミシュラン3つ星に輝いたレストランの総料理長を務めている。対するもう1人は、イ・チェミンが演じる国王のイ・ホンだ。彼は周囲を震え上がらせるほどの傍若無人な暴君である。生きる世界が全く違う2人が織りなす常識破りの喜劇と幻想的なファンタジーの融合。それこそが、この作品が絶大な支持を集めている最大の理由である。

画像=tvN





過去へさかのぼるタイムスリップ劇において、次元を超える瞬間の描写は常に重要な意味を持つ。『暴君のシェフ』におけるその鍵は、天空の神秘である日食と古びた書物の組み合わせであった。フランスで開催された権威ある料理コンクールで見事に頂点に立ったジヨン。彼女は帰国する際、歴史学者である父親から『望雲録』という古い文献を託されていた。しかし、韓国へと向かう航空機の機内で予期せぬトラブルに見舞われる。隣の乗客が誤ってコーヒーをこぼし、大切な古書を濡らしてしまったのだ。
ジヨンは慌てて機内の化粧室へと駆け込む。そして、濡れたページを必死に拭き取ろうと修復を試みていた。まさにその瞬間、外の世界では太陽が完全に隠れる日食が発生していた。天体の変化と古書が共鳴したのか、彼女の体は突如として未知の力に飲み込まれてしまう。激しい時間旅行の果てに彼女が放り出されたのは、はるか昔の朝鮮王朝時代であった。しかも、そこは冷酷な暴君イ・ホンが軍勢を引き連れて狩猟を楽しんでいた。現代の天才料理人と過去の絶対君主。交わるはずのない2つの運命が、ここで劇的な交差を果たすことになる。




血も涙もない残酷な支配者として恐れられるイ・ホン。しかし、彼には意外な素顔があった。それは、常人離れした極めて繊細な味覚を持つことである。絶体絶命の危機に陥ったジヨンは、自らの命を繋ぐために宮廷で包丁を握る。彼女が王の御前に差し出す料理は、どれも極上の品ばかりである。さらに特筆すべきは、劇中に登場する1品1品のメニューに、心揺さぶる珠玉のドラマが秘められている点だ。単なる料理の描写を超えた深い物語性が、作品全体を一層味わい深いものにしている。

文=「チャレソ」編集部

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