知りたい朝鮮王朝8/最悪の暴君だった燕山君

1494年、惜しまれながら9代王の成宗(ソンジョン)がこの世を去った。次の王に就いたのは、斉献王后が産んだ王子で18歳だった。この王が10代王の燕山君(ヨンサングン)である。

少年時代の燕山君

燕山君は幼くして母を失ったために、母の温もりを知らずに過ごした。結局乳母に育てられたのだが、性格はわがままで気性が荒かった。
それを物語る逸話がある。
ある日、成宗は王の責任と義務を教えようと、子供時代の燕山君を呼び出した。すると成宗が愛情を注いでいた鹿が、燕山君の前に現れて手の甲や衣類をなめた。
「高貴な我がからだに触れるな!」
そう言うと、鹿を思い切り蹴り飛ばした。その光景を見た成宗は非常に怒り、燕山君を強く叱った。父の手前、反省したそぶりを見せた燕山君だが、恨みは相当根深かったようで、自身が即位するとその鹿をすぐに殺してしまった。




さらに、もう一つの逸話がある。
少年時代の燕山君には2人の優秀な教師が付いたのだが、乱暴でイタズラ好きな燕山君は、2人の指導を無視して遊びまわっていた。それに対し、1人は「お遊びもいいですが、今は勉学の時間ですぞ」と優しく諭した。もう1人は「あなたは次代の王となるお方です。あまりお戯れが過ぎると、王に報告させてもらいますぞ」と厳しく接した。
すると、王になった燕山君は厳しかった教師を処刑してしまった。
(ページ2に続く)

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