世宗(セジョン)/朝鮮王朝人物紀行23

「訓民正音」の創製

世宗が在位中に取り組んだことの中で、最も大きな功績が、民族固有の文字「訓民正音(フンミンジョンウム)」を創製したことだ。いったい、どういう理由でそうなったのだろうか。
当時の朝鮮王朝では主に使われていた文字は漢字である。しかし、漢字を使えたのは特権階級(官僚や知識人など)の者だけで、庶民はまったく使うことができなかった。それを知って心を痛めた世宗は、民族固有の文字の創製に取り掛かった。それが1443年に完成した「訓民正音」で、公布されたのは3年後の1446年だ。今では、ハングルという名称になって広く浸透しているが、創製した当時は庶民に広く伝わらなかった。なぜかと言うと、漢字を使うことのできた特権階級の者たちが、自分たちの特権が脅かされることを恐れて、普及を妨げていたからだ。




そして、世宗は1450年に世を去るが、ハングルを創製したことが彼の名声を揺るぎのないものとし、「朝鮮王朝最高の聖君」と呼ばれ、韓国の小学校にはかならず世宗の銅像がある。それだけ尊敬を集める世宗は、まさに偉大な王と言える。

文=康 大地(コウ ダイチ)

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