「朝鮮王朝三大悪女」の1人と言われる鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)〔?~1565年〕は、幼い頃に貧しい家に見切りをつけて奴生(キセン)になった。彼女の優れた容姿は尹元衝(ユン・ウォニョン)の目にとまり彼の妾となった。
文定王后と結託した鄭蘭貞
この尹元衝という男は11代王・中宗(チュンジョン)の正室である文定(ムンジョン)王后の実弟である。
尹元衝にはすでに正妻がいた。しかし、この正妻は鄭蘭貞の策略により家を追い出された後に毒殺された。
文定王后の後ろ盾を得た尹元衡は着々と出世していき、鄭蘭貞の立場も強まっていった。
しかし、当時の情勢では奴婢出身の彼女が、尹元衝の正妻になることは難しかった。すると、文定王后と結託して法律すら変えてしまった。
鄭蘭貞の行き過ぎた行為は、「王后に取り入った妖女」「儒教的な身分制度を覆す毒婦」と言われた。
しかし、文定王后の死後は後ろ盾を失う形となり、地位を剥奪された後に鄭蘭貞は自らの命を絶った。
彼女は最後まで自分の罪を認めなかった。妻が死ぬと、夫の尹元衡も彼女の墓の前で自決した。なんとも憐れな夫婦であった。