この歴史がわかると『雲が描いた月明り』がもっと面白くなる!

パク・ボゴムが扮しているイ・ヨンという世子(セジャ/国王の正式な後継者)。彼のモデルは孝明(ヒョミョン)世子である。23代王・純祖(スンジョ)と正室の純元(スヌォン)王后の長男として1809年に生まれ、幼い頃から頭脳明晰で容姿も優れていたのだが……。





それぞれに実在した人物たち

『雲が描いた月明り』には様々な歴史上の人物が登場する。その人たちは史実ではどういう存在だったのか。そうした歴史背景を知っておくと、さらにドラマを楽しく見られるだろう。
ただし、パク・ボゴムが扮したイ・ヨンは、国王になれば名君になることは間違いなかったが、惜しまれつつ1830年に21歳の若さで早世してしまった。
一方、ヒロインのキム・ユジョンが演じるホン・ラオンは、王宮の内侍(ネシ)部の内官である。この内侍部とは、王族のお世話係を担う役所であって、内官は原則的に宦官(かんがん/去勢された男子の官僚)だ。
それだけに、女性のホン・ラオンがなれるわけがないのだが、その不可能を可能にしてしまうところがドラマならではのストーリー。厳しい身体検査をなんとかクリアしていくところがコミカルに描かれている。
さらに、イ・ヨンの父親となっている国王は純祖がモデルになっている。ドラマで国王は政治の主導権を高官に奪われているが、歴史上でも純祖は政治の主体性を発揮できなかった。そういう意味では、ドラマが現実を大いに反映していた。




なお、『雲が描いた月明り』ではイ・ヨンが幼いときに生母が亡くなっている設定になっているが、この点は史実と違う。純元王后は孝明世子が亡くなったあとも27年間生きていたのである。
また、『雲が描いた月明り』には、国王より権力を持った存在として領議政(ヨンイジョン)が出てくる。
この領議政は官僚の最高峰であり、現在で言えば総理大臣に該当する。
ドラマの中の領議政は、実在した金祖淳(キム・ジョスン)をモデルにしている。
金祖淳は純元王后の父親であり、自分の一族で政治を牛耳った際の元締めであった。
ドラマの後半にはホン・ギョンネという反乱の首謀者も登場する。このホン・ギョンネがホン・ラオンの父親という設定だったが、この男のモデルは洪景来(ホン・ギョンネ)である。1811年に反乱を起こして殺害されているのだが、この洪景来をドラマでは存分に甦らせている。
以上のように、歴史上で実在した人物を巧みに生かして面白くしているのが『雲が描いた月明り』なのである。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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