〔仁粋(インス)大妃の命を縮めたのが孫の燕山君(ヨンサングン)だった〕

孫の暴力によって……

燕山君の悪行は語り尽くされている。
王を頂点とする中央集権国家において、絶対に王座に上がってはいけない男だった。しかし、燕山君を利用しようとする狡猾な人物もいる。
実は、閑職に追われていた欲深い官僚が、出世を狙って燕山君に近づき、尹氏が死に至った経緯を暴露してしまった。
燕山君は逆上し、すぐに報復に出た。母の死に関係した人たちを虐殺し、すでに世を去っている人の場合は墓をあばいて首をはねた。
それは1504年のことであった。
そのとき、仁粋大妃は67歳でまだ健在だった。孫の悪行を苦々しく思っていた彼女は、燕山君をいさめようとしたのだが、逆に暴力をふるわれて病床に臥す羽目となった。
結局、病状は回復せず、仁粋大妃は息を引き取った。つまり、彼女は尹氏の息子によって命を縮められたも同然だった。

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