王朝を揺るがせた大事件17「王位を奪った世祖の悲劇」

相次ぐ息子の死

一説によると、懿敬は昼寝の途中に悪夢にうなされ、そのまま死んでしまったと言われている。
当時の人たちはそのことを聞いて、幼い端宗を殺した因果応報だと噂した。
さらに、世祖は晩年になって、重い皮膚病に苦しむようになった。
なぜ彼は皮膚病を患ったのか。
こんな噂が世間に広まった。
世祖は夢の中で顕徳(ヒョントク)王后からツバをはかれたのだという。この顕徳王后は端宗の生母である。
「よくも愛する息子を殺したな」
世祖の夢に出てきた顕徳王后は、鬼の形相で世祖にツバをはいた。
それが原因で世祖の顔に皮膚病が広がったという。
「まさか、本当に呪いなのか」




心を惑わせた世祖は、仏教に救いを求めたが、果たして安寧は得られたのだろうか。彼は1468年に51歳で世を去った。
彼の死後にも悲劇は続く。
世祖の後を継いで8代王になった二男の睿宗(イェジョン)も兄と同じく19歳で世を去った。
世祖の因果応報は、彼の死後も続いたのである。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

王朝を揺るがせた大事件1「燕山君の悪行」

王朝を揺るがせた大事件2「世祖の非道」

王朝を揺るがせた大事件3「仁粋大妃の脅迫」

王朝を揺るがせた大事件16「正祖暗殺未遂事件」

王朝を揺るがせた大事件18「王位継承をめぐる重大事件」




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