518年間続いた王朝の終焉/朝鮮王朝歴史全集18

「日韓併合ニ関スル条約」

窮余の策として、高宗は1907年、オランダのハーグで開催された万国平和会議に密使を送りました。日本の干渉に対する不当性を訴えようとしたのですが、それが失敗に終わり、高宗は退位せざるをえなくなりました。
皇帝を継いだのは純宗(スンジョン)ですが、すでに実権はなく、日本の指示を受け入れることしかできませんでした。その末に、ついに朝鮮王朝の終焉を告げる日を迎えることになりました。
それは、1910年8月22日でした。この日、日本と大韓帝国の間で「日韓併合ニ関スル条約」が調印されました。大韓帝国の皇帝が一切の統治権を日本に譲渡するという内容でした。
7日後に条約は公布され、国号の「大韓帝国」は消えて、地域名が朝鮮となりました。統監府に代わって朝鮮総督府が置かれ、武断的な朝鮮統治が始まったのです。これによって朝鮮王朝は滅亡しました。




なお、高宗は1919年に67歳で亡くなり、純宗も1926年に52歳で世を去りました。朝鮮王朝は27人の王によって引き継がれてきたわけですが、1926年以降は存命の王が一人もいなくなりました。「血の系譜」という意味でも、朝鮮王朝はこの世から完全に滅びてしまったのです。
(終わり)

文=康 熙奉(カン ヒボン)
康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。

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