一番利権を得たのは?
朝鮮王朝では、政治の裏で数々の陰謀が行なわれていた。
沈煥之が表向きは正祖に従いながら、裏で毒殺を画策するということは、大いにありうることだ。
なにしろ、沈煥之は、正祖の死後にその政治哲学を完全に否定した。まるで正祖の死を「待ってました」と言わんばかりであった。
結果だけを見れば、正祖がいなくなったことで、沈煥之は自分の思いどおりに政治生命を維持することができた。
その沈煥之の黒幕が貞純王后という可能性もある。
2人は同じ派閥で利害が一致していた。共謀して侍医団が正祖に毒を盛るように仕向けた、という説には根拠がある。
とにかく、正祖が世を去って一番利権を得たのが貞純王后と沈煥之なのだ。
2人には明らかな動機があった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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