贅沢三昧の日々
重要な会議でも、哲宗は重臣たちから「今までにどんな本をお読みでしょうか?」と尋ねられる始末で、哲宗はその返答に窮している。
見かねた純元王后は「殿下は長く田舎で暮らしました。それだけ民の苦労がわかるでしょう」と助け船を出すしかなかった。
かつて生活が貧しかったからといって、庶民の心情を察することができるわけではなかった。
むしろ、逆だった。
哲宗は政治を純元王后にまかせ、自らは贅沢三昧で生活が乱れた。学問にも見向きもしなかった。
そんな王の治世によって犠牲を強いられたのが庶民だった。
凶作が多かったのに、政権側は何の対策も立てず、自分たちの権益を守ることだけにずっと忙しかった。
純元王后が世を去ったあとも、哲宗は自堕落な生活をやめなかった。それがたたって、1863年に32歳で世を去った。
あのまま田舎で暮らしていたら、彼の人生はどうであっただろうか。哲宗は悲しいほど政争に翻弄された王であった。