あまりに哀れな端宗/歴史を面白く読む13

世祖に振り回された端宗

金宗瑞を倒した首陽大君はそのまま端宗のところへ行き、金宗瑞を排除したこと、皇甫仁を排除しなければならないと伝えた。それを聞いた端宗は叔父である首陽大君に恐怖を感じて、言われるがまま高官を招集する王命を出す。
首陽大君の同志の1人である韓明澮は、王命により王宮に集まってきた高官たちを狭い門から1人ずつ入らせるように仕向けた。高官たちの中には、首陽大君を批判する者もいて、その者たちは門をくぐったところで殺害され、皇甫仁も無抵抗のまま殺された。これが「癸酉靖難(ケユジョンナン)」である。
こうして最高権力者になった首陽大君は、1455年に7代王・世祖(セジョ)として即位する。強引に王の座を奪われた端宗、そんな彼に忠誠を誓う者たちがいる。それが成三問(ソン・サムムン)を中心とした「死六臣」だ。彼らは、端宗を王に戻すため、世祖の暗殺を企てる。
しかし、それは失敗に終わってしまい、成三問たちは処刑された。




その後、世祖は「端宗を生かしたままにしておけば、また今回のようなことが起こるかもしれない」と思い、甥である端宗を死罪にした。こうして、端宗は1457年に16歳という若さで世を去った。

文=康 大地(コウ ダイチ)

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