孟思誠(メン・サソン)は朝鮮王朝随一の清廉潔白な高官だった

顔面蒼白の官吏

官吏の長は老人に対して怒鳴った。
「無礼者め。すぐ牛から下りて脇にどけ。高貴なお方がいらっしゃるのだ」
老人もとぼけて聞き返した。
「高貴なお方とは?」
「孟思誠様だ。本来なら、お前なんかがお会いできる方じゃない」
ここまで言われて老人はニヤリとする。
そして、ゆっくりと口を開く。
「どうやら、私を出迎えてくれているようだな……」
思わぬ失態に顔面蒼白となる官吏たち。その前を孟思誠は悠然と通りすぎて行った。
この手のエピソードはたくさん残っている。
ちょうど孟思誠が川で釣りをしているときの話だ。若者がやってきて、孟思誠のあまりに粗末な恰好を見て見下した態度を取った。
(ページ3に続く)

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