〔敬恵(キョンヘ)王女の波瀾万丈な生涯!〕

さらなる悲劇

配流生活の中で敬恵王女はお腹に新しい生命を宿した。それを知った世祖は「男子が生まれたらすぐに殺せ」と配下に命令を出した。復讐を極度に恐れたのだ。その直後に敬恵王女は男子を出産した。
女子でなかったことが不運だったが、世祖の正妻だった貞熹(チョンヒ)王后がひそかに手をまわして、生まれたばかりの男子をかくまった。貞熹王后なりに、“罪滅ぼし”のつもりだったのだろう。
断腸の思いで我が子を手離した敬恵王女に、さらなる悲劇が起こった。夫が極刑に処され、自身も奴婢(ぬひ)に身を落とされたのだ。
普通なら生きる希望を失いがちだが、敬恵王女はぜひとも生き抜かねばならなかった。お腹の中に再び新しい生命が宿っていたからだ。
妊娠中の彼女は、気高さを失わなかった。
奴婢として使役を課されたが、「私は王の娘である」と毅然と言って、お腹の子を必死に守った。
やがて娘が生まれたとき、敬恵王女は安堵した。
世祖に狙われることがないからだ。
(ページ3に続く)

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