9代王・成宗(ソンジョン)の母が仁粋(インス)大妃だ。彼女は成宗の二番目の正室だった尹氏(ユンシ)のことを「育ちが悪いし、野心的すぎる」と嫌っていた。その感情が尹氏をどんどん追い込んでいった。
初めての廃妃
母の仁粋大妃が嫌っていることもあって、成宗は尹氏の部屋を訪ねることが少なかった。その分、成宗は側室の部屋にひんぱんに行っていた。
このことに嫉妬した尹氏は、巫女(みこ)を使って側室を呪い殺そうとたくらんだ。そのことが発覚し、成宗はさらに尹氏を遠ざけた。
それでも、しばらく時間が経つと尹氏のことが気になり、成宗は久しぶりに尹氏のもとを訪ねた。
尹氏としては成宗との仲を回復する好機だったのに、なにを勘違いしたのか、尹氏は成宗の顔に引っかき傷を作ってしまい、それが大問題に発展した。
これほど不敬の罪はない。
激怒した仁粋大妃は尹氏を王宮から追い出してしまった。これによって、朝鮮王朝で初めて王妃が廃妃になるという事態になった。
さすがに尹氏は反省し、実家で質素に暮らしていた。
数年が経ち、成宗の心にも変化が生まれた。
「大いに反省しているようであれば王宮に戻してあげよう」
成宗はそう思った。
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