トンイが王宮に入ってきた経緯が謎だらけ!(特別版)

ドラマ『トンイ』の主人公トンイは史実では淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)のことだ。彼女が歴史上、どのような経緯で王宮に入ってきたかがはっきりしていない。諸説があるのだが、どれも確証がないのだ。





伝えられているエピソード

諸説の中で一番もっともらしく言われているのが、王宮で水汲みをする女性だった、という話だ。
つまり、王宮で女官の下について雑役をしていたというわけだ。当時、水汲みは大変な重労働だったので、身分の低い女性が担っていた。
他には、仁顕(イニョン)王后が王宮入りしたとき一緒に従っていた女性の中にいた、という話もある。
諸説が入り乱れている。それなのに、こんなエピソードがある。
ある夜のことだ。19代王の粛宗(スクチョン)が気晴らしに王宮の中を散策していると、明かりがついている部屋があった。
その部屋の中では、豪華な食膳の前で妙齢の女性が祈っていた。
「何をしているのか」
粛宗が尋ねると、女性はこう答えた。




「今日は仁顕王后様の誕生日でございます。今は王宮にいらっしゃいませんが、私がここでお祝い申し上げています」
彼女が言うとおり、仁顕王后は1689年に廃妃となって実家に帰されていた。代わって、側室だった張禧嬪(チャン・ヒビン)が王妃に昇格していた。
粛宗は女性の返答に感心し、以後、好意を持つようになった。そして、側室にした……それが淑嬪・崔氏だという。
このエピソードの信憑性はどうか。とうてい、事実とは思えない。
いくら仁顕王后の誕生日を祝うからといって、王族でない女性が王宮の中でご馳走を作って深夜に部屋を独占できるはずがない。
このように、王宮入りした経緯すら確証がないほど、淑嬪・崔氏は謎めいた女性なのである。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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