呪詛は大罪
朝鮮王朝では、巫堂は「神病」と呼ばれる宗教的な体験を通して神の霊感を獲得した人物とみなされました。
そして、神と対話ができる神権者の地位を得ていました。
人間のすべての吉凶は神の霊によって決まると考えていた人たちは、巫堂を頼り、その人たちに願いごとを託しました。
その願いの多くは死者の霊を呼び戻すことであり、巫堂が独特な儀式を通して死者の霊と対話し、その言葉を依頼人に伝えました。
さらには、特定な人物に対して「呪いをかけてほしい」と依頼する人もいます。この場合、霊能者である巫堂は人の生死まで左右する特別な存在に祭り上げられますが、朝鮮王朝時代は巫堂の神秘性が過剰に評価されていたのも事実です。
その結果、朝鮮王朝時代には、多くの王族女性が呪詛をした罪を問われて、最後には自害させられています。
それほど、呪詛は大罪になったのです。
いわば、呪詛を行なうのも命がけでした。
文=康 熙奉(カン ヒボン)