王宮の女性物語8「張緑水」

張緑水(チャン・ノクス)〔?~1506年〕は、両班(ヤンバン)の父と妾の間に生まれた。妾の娘だった彼女は、生まれながらに奴婢(最下層の身分)にされた。張緑水は己の境遇を呪った。どうにかして自分の身分を改善しようと思った彼女は、8代王・睿宗(イェジョン)の息子である斉安大君(チェアンデグン)に付き添う奴生(キセン)となった。彼女は斉安大君の部下の子供をもうけたこともあった。

王を堕落させた悪女

奴生として張緑水の容姿が特に優れていたわけではなかった。しかし、歌や踊りにおいては天才的な才能を示したため、その評判は宮中でも有名になった。
野心の強かった彼女は、女の武器を最大限に発揮してのし上がっていく。そんな張緑水の評判を聞いた燕山君(ヨンサングン)は彼女を側室に迎え入れて寵愛した。
こうして張緑水は奴婢出身でありながら、国をも動かす権力を手に入れるのだった。彼女は王の側室である立場を利用して実の兄とその息子を高官にまで出世させた。また、暴政を続ける燕山君を毎日のように酒宴に誘い、いっそう堕落させた。張緑水のこうした行いを庶民は苦々しく思っていた。
1506年、燕山君はクーデターの末に王位を剥奪された。このとき、燕山君を助長し甘い蜜を吸っていた臣下の多くが処罰の対象になった。張緑水も例外ではない。




彼女は捕らえられると、庶民の前で斬首刑に処せられた。しかも、むごたらしく処罰された彼女の遺体に向かい、多くの庶民が石を投げつけたという。それほど、張緑水は庶民の恨みを買っていたのだ。彼女は現在も「朝鮮王朝三大悪女」に数えられている。

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