緊急時には正宮になった
徳寿宮は、波瀾の時代に政治の表舞台になりました。
朝鮮王朝は1592年に豊臣軍に攻められて景福宮(キョンボックン)や昌徳宮(チャンドックン)が被害を受けたのですが、その際に正宮になったのが徳寿宮で、1608年には15代王・光海君(クァンヘグン)の即位式も行なわれました。
現在、徳寿宮はソウル市庁舎の真ん前にあります。日本統治時代に敷地が縮小されてしまいましたが、正殿の中和殿(チュンファジョン)の前に立つと、朝鮮王朝の伝統を肌で感じます。
その左側に西洋建築が目立つのは、朝鮮王朝末期にこの国が周辺各国の干渉を受けた名残です。
文=康 熙奉(カン ヒボン)