悲惨な最期を遂げた端宗に涙する

「死六臣(サユクシン)」に象徴されるような端宗(タンジョン)復位計画を根絶するためには、端宗を生かしておけない……そう考えた世祖(セジョ)は、ついに非道きわまる行動に着手する。





陸の孤島

身命を賭して端宗(タンジョン)の復位を願った死六臣(サユクシン)。彼らは最期まで端宗に忠義を示したが、尋問を受けた同志の中には、端宗が計画を事前に承認していたことを証言する者もいた。これは端宗の立場を決定的に危うくした。
相次ぐ端宗復位計画に頭を悩ませていた世祖(セジョ)は、これを口実に反乱の芽を完全に摘み取ろうと考えた。
端宗は内乱を認知していた罪に問われ、都から遠く離れた寧越(ヨンウォル)に配流されてしまった。
このとき、端宗は17歳。寧越に向かう彼には、妻や宮女の同行が禁じられた。さらに、兵士たちに一挙手一投足を監視されながら、王族とは思えないほど古ぼけた籠に乗って端宗は出発した。
道中では、悲劇の先王を民が哀れみ、涙する者までいた。
端宗が流された地は、三面を川に囲まれ、残った一面は断崖絶壁という陸の孤島のような場所だった。




この見知らぬ土地で、端宗は不安と悲しみを抱えながら生活した。彼の唯一の楽しみは、山に登り故郷を眺めることだけだったという……。
端宗が寧越に配流されている最中、端宗の復位を企てた錦城大君(クンソンデグン/世祖の弟)が反逆者として告発された。
錦城大君は、実の兄の王位強奪を公然と批判したため、不穏分子とみなされて慶尚北道(キョンサンブット)の順興(スヌン)に流されていた。しかし、秘密裏に同志を募り、端宗を復位させる計画を念入りに始めていた。
錦城大君は順興の責任者を抱きこみ、その地を反乱の拠点に据えた。そして端宗を順興に招き、大義名分をもって世祖を追放しようとした。しかし、彼に仕える女性奴婢が夫の出世のために計画書を盗んでしまう。こうして計画はすぐに韓明澮(ハン・ミョンフェ)のもとへ伝えられた。
韓明澮は世祖の側近中の側近。彼は、多くの兵を率いて順興を強襲し、錦城大君を拘束した。
さらに、計画の拠点となった順興は、世祖によって“反逆の土地”として解体され、順興土着の役人から一般庶民まで多くの命が断たれてしまった。
世祖はこれで済ませなかった。
ついに端宗の殺害を決めたのだ。
(ページ2に続く)

朝鮮王朝の歴史に「死六臣」がいて心が救われる

晩年の世祖は端宗を殺した祟りに苦しめられた!

首陽大君は甥の端宗を脅かして王位を強奪した!

正史とはいえ「端宗実録」の記述は偏っていた!

端宗は祖父の世宗も認めた聡明さを持っていた!




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