金万徳!大ピンチの済州島を救った女商人

朝鮮半島の本土からはるかに離れた場所にある孤島・済州島(チェジュド)。古くから稲作が難しく米は大変貴重なものであった。島民たちは島の特産物を本土へ運んでは、米や最低限の生活必需品を買って生活していた。





生活に苦しんだ幼少期

済州島の港には常に本土との運搬船が停船していたが、本土と済州島の間の海域は荒く、転覆事故が後を絶たなかった。男たちを乗せた船が沈没を続けたからか、済州島では比較的女性が多く、人はいつからか「女の国」と呼ぶようになった。
21代王・英祖(ヨンジョ)の時代に金万徳(キム・マンドク)〔1724年~1812年〕は済州島で生を受けた。金万徳の父は済州島でも有数の商人であり、彼女は両親の愛を一身に浴びて幸せな幼少期を過ごした。
しかし、金万徳が11歳になった秋、商談に向かう父を乗せた商船が転覆事故を起こした。父はその商談に全財産を賭けたばかりか、多額の借金までしていた。残された家族は路頭に迷うようになった。
気丈だった母もショックで病に伏せるようになり、金万徳はたった1人の弟を連れて島中を駆けまわり、食料を分けてもらいながらなんとか暮らしていた。しかし、彼女の受難は続く……。




済州島全体が大凶作になり、金万徳に食料を分けてあげられる余裕のある人がいなくなった。日に日に苦しくなる生活。唯一の拠り所だった母も、父の後を追ってこの世を去ってしまった。両親を失った金万徳と弟は、別々の金持ちの家で下働きすることになった。
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