貞熹(チョンヒ)王后/朝鮮王朝の美女物語11

二度の地獄

世祖が1468年に世を去ると、その二男が8代王・睿宗(イェジョン)として即位した。貞熹王后は王の母になったのである。しかし、再びの悲劇が襲う。睿宗は在位1年2カ月で急死した。
貞熹王后は母親として二度も地獄を味わった。しかし、悲嘆に暮れてばかりはいられなかった。あまりに睿宗の治世が早く終わりすぎて、後継者がまだ決まっていなかったからだ。
候補は3人いた。睿宗の息子の斉安(チェアン)、懿敬の長男と二男だった。
最有力候補はもちろん斉安だった。前王の直系に当たるからだ。しかし、斉安がまだ3歳で幼すぎるという理由で、貞熹王后が大反対した。
残るは懿敬の長男と二男の2人だ。長男は15歳で二男は12歳だった。どう考えても年上の長男が次の王にふさわしいと思われた。




意外にも、貞熹王后が指名したのは二男だった。彼女は「夫が二男を高く評価していた」「長男は病弱だ」と根拠を述べたが、高官たちは釈然としなかった。二男が長男をさしおいて王位に就く決定的な理由になっていなかったからだ。
裏にどんな策略があるのか。
(ページ3に続く)

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