もう1つのエピソード
韓国ドラマ『ファン・ジニ』には史実のエピソードが多く使われている。先ほどの棺が動かなくなった逸話のほかにもう1つ、風流人として有名だった碧渓守(ピョク・ケス)とのエピソードを紹介しよう。
「ファン・ジニは風流な人にしか会わない」と聞いていた碧渓守は、月夜にコムンゴ(琴の一種)を弾けばファン・ジニが現れるので、そのときに関心のないふりをして馬で駆け去るという計画を練った。
ファン・ジニが現れたことに気付いた碧渓守が急いで馬にまたがると、世にも美しい声が聞こえてきた。
「青山を巡る碧渓守よ 疾き流れを誇るなかれ ひとたび大海に至れば 再び見えること難し 明月が空と山を満たす 今宵をともに過ごさん」
それを聞いた碧渓守はウットリしすぎて落馬してしまう。
また、ファン・ジニのような美しい女性に「今宵を共に過ごそう」と、突然言われたら驚くのも当然である。
碧渓守も、まさかそう言われるとは思っていなかった。結果的に、落馬して恥をかくことになったのだ。ファン・ジニのほうが一枚上手だった。
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端敬(タンギョン)王后を廃妃にした中宗(チュンジョン)/朝鮮王朝歴史全集6