内乱のきざし
仁祖は虚偽報告をした者たちを処罰しようとするが、臣下たちは徹底的に反発した。それだけでなく、李适を解雇して尋問すべきだとまで言うのだった。
「今回の問題が起こったのは、李适が信頼できない人物なのが原因です。そんな者に重大な任務を与えるのは間違っています」
「お前たちの言い分はわかった。しかし、李适をいま持ち場から離れさせるわけにはいかない。彼の息子を宮中に呼び出して話を聞くようにせよ」
仁祖の妥協案によって、李适の息子が召喚された。しかし、李适は自分を陥れようとする勢力に激しい怒りを燃やしていく。
「つまらん言い掛かりをつけてくるとは許せん!」
怒りにふるえた李适だったが、冷静になってからこう考えた。
「息子はおそらく拷問にかけられて、偽りの報告をさせられるだろう。そうなったら俺はもうおしまいだ。それならば、いっそ……」
李适は反乱を決意すると、息子を連行しにきた役人たちを切り殺し、挙兵する準備を整
えていった。
文=「チャレソ」編集部