綾陽君(ヌンヤングン/後の仁祖)は仁穆王后の怒りがあまりに大きいので、その場を退散して、また改めて出掛けた。仁穆王后も少し頭を冷やしたようで、「大義名分を出すには条件がある。あの化け物の首を取ってまいれ」と言った。
「首を取ってまいれ」
綾陽君は仁穆王后にこう答えた。
「いやいや、それは絶対にできません。先王の首をはねるようなことをすれば、私が歴史で糾弾されます」
仁穆王后は首を振った。
「ならぬ。首を取ってまいれ、さもなければこの話はなしだ」
こうした問答が何回も続く。
様々な時代劇では光海君の処遇をめぐって綾陽君と仁穆王后が論争するシーンが名場面になっている。
仁穆王后があまりにも激昂して倒れたりする。仁穆王后を演じる人にとっては、この場面こそが自分の女優人生の最高潮になるのだ。
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